桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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2010年8月のアーカイブ

Column

2010年8月 [ 27 entry ]

アイディアをかたちにする「場所」

20100831.JPG午前中は東中野の現場定例。
午後は軽井沢の別荘の設備打合せ。
ランチを久しぶりのデイライトキッチンで。
プランターに囲われたテラスでゆっくり食後のコーヒーを飲みながらスケッチをする。
風に吹かれながらアイディアをかたちにするのは心地よい。

じつは僕にはもうひとつアイディアをかたちにする場所がある。
それが、デイライトキッチンのトイレの中。
このお店で食事をするとヘルシーな食事のせいか必ず食後に寄り道したくなる。
僕の体はそんな自然なリズムになってしまっているらしい。

ここでもう一枚、僕のスケッチブックのページは増えることになるのだ。
お店の皆さん、僕がなかなかトイレから出てこなくても心配しないで下さい。
アイディアを「絞り出して」いる筈ですから。。。

脳天気な私の悩み

今日は他の案件で手一杯のスタッフにかわって久しぶりに木造の軸組など描いた。
久しぶりにスタディーの歓びを心から味わった。
頭に描いたことがシャシャっと線に置き換えられてゆくのは快感なのだ。
しかし我がスタッフたちはこのようなことに歓びを感じているのだろうか?
楽しい部分をスタッフから取り上げて私が味わってしまったのだから。。。

かつて私とアシスタントのスタッフの二人三脚が長かった。
だから当然私が全ての案件を担当し、隅々まで考えを巡らした。
現在6人所帯なのでなかなか全案件に隅々まで関わることはできない。
自分流に表現することはできても全てを掌握することはできないのだ。
しかし、それでも私の事務所はあくまでも私の名前の付いた事務所だから、スタッフは基本的に指示待ちになることが多い。
それだからか、以前の二人三脚のときと比べて効率が落ちた気がしてならない。
かつてと現在と比べておそらく年間の案件数はさほどかわらないのだ。
おそらく私の判断の遅れが(というか報告のさせ方が下手なんだ)無駄な作業をうんだり、よけいな作業を背負い込んでいるのを発見するのが遅れがちになっているのであろう。
そんなやり方にやや疑問符を感じる今日この頃だ。

ほとんど悩みがない脳天気でストレスフリーな私だが、少しだけ悩みがあることを打ちあけておこう。

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ブルーノ・ムナーリ展

20100829.jpg山本理顕設計工場による横須賀美術館で本日最終日となったブルーノ・ムナーリ展へ。
ブルーノ・ムナーリは未来派の美術家であり、グラフィックデザイナーであり、プロダクトデザイナーでもあり、絵本作家でもある。
肩書きはまだまだ他にもいろいろあるようだ。
私はダネーゼから出ている灰皿や傘立てをインテリアの小物としてよくチョイスする。
とてもシンプルだけど子供のように純粋で遊び心のあるデザインが未だに新鮮だ。

ムナーリが絵本作家になった理由は、自身の子供のために10冊の絵本をプレゼントしようと思ったから。

ムナーリの作品にも「ミラノ霧の風景」というタイトルがあって須賀敦子を連想したが、ムナーリの絵本のいくつかは須賀敦子による翻訳であることを考えれば合点が行く。

自分は子供と子供達のために何が残せるか?
とても純粋で素直な問いかけは、やがて大きな課題になる。

東中野の住宅「試験杭」

東中野の住宅。地鎮祭から1ヶ月、やっと杭打ちが始まった。
盆休みを挟んで進捗が鈍る時期だ。
その間に土の崩壊を防ぐための山留めを行い、土を掘リ進んで来た。
何しろ今回の建物は外から見るとどう見ても3階建てだが、地上1階地下1階建てだ。
おまけに地下が深い。
杭を打ってからさらに3メートルは掘る。
ボーリング調査であらかじめ仮定した支持地盤もその通り出て来た。
すべり出しは良好。
本格的な打合せはこれからだ。
工事現場へは竣工する来年3月までの間、週1回ないしは2回のペースで通い、様々な打合せや検査を行う。

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「お風呂」と「オーディオ」

青山の骨董通りを青山通りからほんのちょっとだけ入ったところにあるJaxsonショールームで行われているオーディオのLINNとのコラブレーション展示を観に行った。

20100826-1.jpgJaxsonの名前は知っている人も多いと思うが、浴槽のメーカーである。
よく輸入品と間違われている方がいらっしゃるけれど、日本発、1982年創業のブランドだ。
そのスタイルが洗練されているのでおそらくその見た目の印象とブランド名からどこかヨーロッパの臭いがするからなのではないだろうか。
しかし、現在、日本発のプロダクトとして世界に打って出ているブランドだ。

20100826-2.jpg一方、LINNは1972年にスコットランドで創業したオーディオブランドで、クイーンエリザベス2世号や、アストンマーチンのオーディオのサプライヤーでもある。
私の周りにも何人かのファンがいるが、こだわりのオーディオだ。
現在はネットワーク内のデータを音源とする、デジタルストリ−ムプレイヤーが主役になり、LANとWi-Fiを介して家中の何処にでも設置出来、iPadやiPhoneなどのデバイスをリモコンとして操作が出来るシステムが提案されている。

それで、なんでお風呂に高級オーディオ?と思うのではないかと思うが、、、それが実に良いのです。
ただでさえ良い音を家の中の一番気持ちよい場所で聞ける。
なんて考えただけでも幸せですよね。

そうなると浴室空間もかわってくるだろうなあ、なんて思う訳です。
床にはカーペットを敷いて、床暖房を入れたい。
湯気は気流の無い大きな換気扇(そんなもんあるのか?)でゆったり排気。
湿度の極めて低い浴室空間を作りたくなる。

以前、泊めて頂いたことがある、クライアントが所有するアメリカ西海岸の別荘。
30帖もあるかと思われる寝室に敷き詰められたふかふかのカーペットの上にドンと置かれた大きなバスタブ。
これが何とも大胆で気持ちよかったことを思い出した。

えぇ〜っ、指示ミス発生!

僕の仕事はいつも大体同じ顔ぶれのチームになることが多い。
構造設計、設備設計、施工業者、その下のサブコンさん、まず一回きりのおつきあいになることは少ない。
だから、何か明らかにおかしいと思ったことはすぐに質問が帰ってくる。
「これって違いますよねえ〜」とか、「こうはしたくないはずですよねえ」とか。
意外と私が「今回は仕方ないかなあ〜」なんて諦めかけていると、先に彼らの方からいってくれちゃったりする。
私は常に助けられているのだ。
本当に恵まれていると思う。
もちろんこうした優秀な人たちと一緒に仕事をするにはコストも少々余計にかかる訳で、そうした負担を背負って頂いているクライアントには最も助けられているとも思う。
もちろん、その反対にクライアントにとってもその方が永い目で見ていいことに違いない。

今日、竣工目前の現場で品番の伝達ミスから間違った材料が納入されて、既に施工もされてしまったことが判明した。
この現場は施主も施工者も関係する全ての人々が一緒に仕事をするのが始めての関係。
しかもこの現場での私の立場は設計者ではなく、デザイン監修者だから、今回はもう手遅れだ。

間違った品番が書かれた図面がかつて存在した。
その間違いに気がついたスタッフが品番表を修正した。
現物サンプルも見せて本人は確認したつもりだった。
しかし、現場の担当はサンプルを見た印象は無く、図面に残されていた間違った品番のとおり手配してしまった。

20100825.jpgコミュニケーションのすれ違いから来る単純ミスだ。
メールや奇麗に清書された書面では伝わらないことが多い。
大事なのは「間違っているから気をつけて下さい」と、印象づけることだ。
方法はどうでも良い。要は伝わったかどうかなのだ。

私は家族からもよく「しつこい」といわれる。
同じことを何度も言うからだ。
歳のせいもあるかもしれないが、何度も言うことで自分に言い聞かせているのだ。

若き才能のコンチェルト

20100824.jpg「若き才能のコンチェルト」とタイトルを付けたコンサートに行ってきた。
私が仕事で大変お世話になっている、江副育英会が支援する奨学生3名によるコンサートだ。
会場は赤坂アークヒルズのサントリーホール。

3名とも国際コンクールで活躍する才能あふれる音楽家。
宮田大(チェロ)はカバレフスキー「チェロ協奏曲第1番ト短調」
田村響(ピアノ)はショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」
イム・ドンヒョク(ピアノ)はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」
それぞれほとばしるような熱のこもった演奏を披露してくれた。

夕方6時半から始まったコンサートだが終了は9時とかなり長いコンサートだった。
終盤にさしかかると足がむくみ、ジャストサイズの靴の中で足がしびれ出す。
しかし、不思議。
イム・ドンヒョクの「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」第2楽章中盤から天に昇るような旋律を聴くうちにすっかりしびれが引いてなにかに包まれたような気分に。
僕にはそんな光がたしかに見えた。
音楽は他の何よりも神経に作用するとはこういうことなのだなあ。

演奏会が終わるといつもの様に赤坂オーバカナルで食事。
ここで託児所に預けていた子供達とも合流。
今宵は若き音楽家達に感謝。

旅の最終日、男木島集落

僕は階段のある風景に萌える。
それが日本だろうと、イタリア山岳都市だろうと目の前に路地と階段があれば必ず何処までも登って行きたくなる。
この男木島の路地からは振り返れば何処からでも見える美しい瀬戸内の海。
こんな魅力的な集落にはなかなかお目にかかれないだろう。

坂が急すぎてベビー用のバギーが用を成さないこの島では今も昔も背負子が最適。
おそらく今日も35℃を超えていたと思われるが、汗だくになりながらも楽しく歩き回った。

こうして瀬戸内5日間の旅は終了。
アートをきっかけにこんなに素晴らしい体験が出来たことに感謝。

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