桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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2011年9月のアーカイブ

Column

2011年9月 [ 7 entry ]

ベルギー尽くし

渋谷区内に建設中の住宅プロジェクト。
インテリア全般を担当している。
関わり始めたのが着工直後の6月で、もう既に3ヶ月以上経過した。
来年2月の竣工に向けて工事は止まることなく進むのでアイテム決めは佳境に入った。
ふと気がつくと何故か今回ベルギー尽くしに。

ベルギーといえば19世紀のアール・ヌーヴォー。
1893年にヴィクトール・オルタがブリュッセルに建設したタッセル邸がアール・ヌーヴォー様式の最初の建築物であるといわれている。
装飾性に目がいきがちだが、ここを境に建築表現は軽やかさを求めて鉄やガラスといった当時の新素材へと大きく転換していったのだ。

今回、アウトドア家具のEXTREMIS、照明のDELTA、壁紙はARTE、OMEXCO、、、すべて、これだ!と思って選び出してお勧めしたもの。
それらは計った訳ではないのにことごとくベルギー製。

さてと、次の旅行のディスティネーションにするか。

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建築は全てリアルな現場で

東中野の住宅改修現場。
新築の完成後すぐに気合いを入れるべく威勢よくキックオフミーティングを行なったものの、図面の進行が思うように進まない。
中だるみが起きてしまった。
しかし、なんだかんだいいながら仮住まいの契約期限が迫ってきた。
現場も完全な図面を待ってはいられない。
ということで、僕もことあるごとに現場チェックに出向き、その場で指示だしすることに。
改修では、図面は描いたもののその通りにはいかない、ということが間々ある。
だから、しょっちゅう現場を見ていないと指示のないまま、見落としたままに出来上がってしまうのだ。
それを防ぐにはとにかく現場に通うことだ。

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午後は明日のミーティングのために家具、照明、壁紙をチェックしながらショールームを梯子して歩く。
やはり、家具は腰掛けみて、照明は点灯させてみて、壁紙は大きな面で見て、はじめて体で感じることができる。
そうして自分で納得しないとクライアントには勧められない。

そんなわけで建築はリアルな現場が命なのだ。

デイベッド検品

来月納品する江東区のマンションの共用部のベンチのチェックをしに神奈川の椅子張りの工場へ行って来た。
東横線の日吉で市営地下鉄に乗り換え数駅。
渋谷の事務所からだと30分で辿り着く便利な立地だ。
それでもこの辺り一帯には小さな工場がひしめき合っている。
目的の工場もそんな町工場の一角にあって駅まで迎えに来ていただかなかったら永遠に辿り着けなかったかもしれない。

工場の平場一杯に並べられたベンチは奥行きが1.5メートルもあるデイベッド。
全部のピースを繋げるとワイドは25メートルを超える。
今回のソファーのこだわりは黒革のジョイントに施された赤いステッチ。
それと、8月、現場でモックアップ検証した時からさらに座面の堅さと見た目のふっくら感を増すようにお願いをしてあるので、その仕上り具合の確認だ。

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ステッチは5番糸という太めの糸を使用していただいた。
レザーの端部を機械で削いだ後に立体的に縫製するために工夫された特殊ミシンを使って加工する。

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取り付けはいよいよ10月11日だ。

夜は現在有楽町の東京フォーラムで行われているUIA2011TOKYOの関連イベントで東京の低炭素ビルTOP30のうち、6事例の紹介をするプレゼンテーションを聞きに行った。
痛みが伝わりやすい住宅と違って痛みを分かち合いにくい大規模ビルでの削減効果は非常に大きい。
その一方でそこまでして大規模ビルを建設しなければいけないのか?
そこに施された様々な有用な技術は冷静に考えてみると建設のための言い訳とも聞こえなくもない。
到底達成出来ないマイナス25パーセントに向けた建設関係者の苦悩を見た。

和やかな内覧会

SEKI DESIGN STUDIOの関さんからご案内いただいたマンションリノベーションの内覧会にいってきた。
事務所からも近く、かつて設計した渋谷の住宅の現場近くにある。
見せていただいたのは築30年のマンション最上階、120m2ほどのスペースの全面改修。
施主と施工者を交えたトークセッションもあり、関さんの人柄もあってなかなか和やかな内覧会だった。

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運動不足

ここ3週間ほどコラム更新をさぼった。
これまで朝のジム通いはさぼってもコラムはあまりさぼることはなかったのだ、、、
いつもなら忙しくても仕事以外の自分の予定は変えることはなく、映画や美術展を観に行く時間は家族の時間とともに別勘定だったり、食事やショッピングもいつもと変わらず、そうしたときに忙しそうなそぶりは一切無し、というのが、僕のやり方だったのだ。

要因を考えると、やはり、体力が落ちた、のひと言に収斂できるのではないか?
だから、まずはジム通いを復活しよう。
連休が明ける明々後日から!

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家具講義

教えに行っている理科大理工学部建築科の後期授業が始まった。
夏休み中は楽させてもらったので、後期初回の授業では頑張って家具のレクチャーをすることにした。
設計課題が家具のパビリオンということで、そのためのヒントを語る。
最初は自分の好きな家具を並べて思いを語ろうと思っていたのだが、自分なりに整理してゆくうちにいつもの様に深みにはまった。
前日は台風上陸。
この日予定されていた大きな打合せがキャンセルとなった。
結局、まる一日かかって完成させた資料は削るのも惜しいくらい膨大に。
二十世紀の多くの建築家は自分が創り出す空間を表現するために、何故家具を作らなければならなかったのか、プロダクトとしての家具が確立した今、多くの建築家たちが興味の対象としての家具から距離をおいてしまったのはなぜか?
改めて考えてみると得るものが多い。
理工系の学校なので、家具までの思いを持った学生はまだ少ないだろう。
立ち会った院生や教員たちも、なるほど、と思ってくれたようだ。
人に教えることで自分が得るものも多い。

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見た事ないものに対する不安感と無難なものに対する安心感の狭間で

依頼された仕事はどんな内容であれ、どのように楽しもうか、そして、そこで行ったワークがどの様にその後の設計にフィードバックし、活かすことが出来るものかと考える。
四年前に関わったあるマンションのモデルルームのデザインワーク。
設計を全て終え、さあ、着工か、となった時にリーマンショックで頓挫した。
デザインフィーは清算したけれど、実現しない寂しさを味わった。

今回、やっと販売の見通しがつき、再開するという連絡を受けた。
しかし、以前のプランとは全く異なった計画に変更されているため、また一からの提案となる。
でも、僕の方も以前の焼き直しをするつもりは全くなくて、いまの気持ちで最初から考え直す方が楽しいと考えている。

マンションのデザインワークは不特定のクライアントの姿を想像することから始まる。
中間報告をする今日、ある家族のシーンを切り取ってカバーストーリーを書き上げた。
フィクションだけれども自分というフィルターを通して語ることで、これまで見かけなかった集合住宅の住まい方とそのためのプランニングが見えてくるのだ。

一方で、景気が低迷する今、建主側はただひたすらに慎重ムードだ。
したがってちょっとでも尖った提案に対する抵抗感は相当に強い。
見た事ないものに対する不安感と無難なものに対する安心感の狭間で葛藤するのだ。
しかし、そういう今だからこそ誰かが未来を切り開かなければいけない。
そんなリスキーな役を僕が引き受けようとしているのだ、と、考えるとますます楽しい。

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