桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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2014年10月のアーカイブ

Column

2014年10月 [ 20 entry ]

南イタリア11

ターラント
Taranto

20141015-1.jpegここは港湾都市として栄えた街です。
しかし、現在の旧市街は、半ば廃墟のまま放置されていました。
荒廃した旧市街の空き家をキャンバスに、ウォールペインティングが多数見受けられます。
ここでも、アートは都市再生の原動力となりそうです。
また、ここに残された者同士で助け合う姿も見受けました。
路地を隔てたお隣さん同士で籠をロープで吊って、ものの受け渡しをしています。
この方法は地上からの荷物の搬入にも一役買っています。
ナポリの旧市街でもよく見かけました。
バリアフリーの一つの方法と考えられます。

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ここには漁港があってその周りにはおいしいシーフードレストランが何軒かあります。
漁船の周りでは子供たちが、ぽちゃん、ぽちゃん、と次々に海へと飛び込んで遊んでいます。
そういう街ですから街歩きの前に先ずは腹ごしらえです。
アンティパストミストだけで食べきれないくらいのお皿が並びます。

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それから、この街の新市街にはジオ・ポンティの設計したカテドラルがあります。
ジオ・ポンティはミラノのピレリビルで有名ですし、スーパーレッジェーラという椅子のデザインでも有名です。
ともに、ビルは風圧に対抗するため、椅子は軽くて丈夫にするために扁平な六角形の断面を採用しました。
以後、この形はジオ・ポンティ作品のアイコンとして、どこにも登場し続けています。
ターラントのカテドラルでは、巨大なコンクリート製の鐘楼に扁平な六角形で多数の格子状の穴を開けることで、空を透かして見せていました。

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「雲上の楽園」松尾鉱山

20141009-1.JPG20141009-2.JPGかつて「雲上の楽園」とよばれた山岳都市があった。
岩手県八幡平市、アスピーテラインを山頂めがけて上ること約30分。
標高約1000メートルの山中、大自然の真っ只中に、今も残る廃墟群が、忽如として現れる。

松尾鉱山は、19世紀末から操業が始まり、1969年に閉山した硫黄鉱山だ。
最盛期の人口は1960年(昭和35年)約1万5000人に達したという。

ここには、公団住宅が一般化する前から、水洗トイレ・セントラルヒーティング完備の鉄筋コンクリート造の集合住宅がつくられていた。
もちろん、小・中学校、病院も完備。
著名な芸能人を招き、公演ができるホールなど、当時の最先端を行く、近代的な都市が形成されていたのだ。

閉山後、木造の建物群は延焼実験として火が放たれ、全てが焼却されたそうだ。
コンクリート造の住居棟だけが今も山中に廃墟として残っている。

等高線に沿って緩くカーブしながら配置された建物群はとても美しい。
また、二本立つボイラーの煙突が、絶妙なバランスを与えている。
いまだに処理し続けなければならない鉱毒のネガティブな問題がなければ、是非、産業遺産としながら転用する方法を模索したいものだ。

ここが栄えた在りし日の様子に思いを巡らしていると、ふいにどこからともなく一匹の狐が現れた。

Works更新のお知らせ(Day Light Hut & Cafe Table)

今年4月に竣工したDay Light Hut & Cafe TableのWorksをアップいたしました。
ぜひご覧ください。

Works更新のお知らせ(湯河原の別荘(T邸))

昨年7月に竣工した湯河原の別荘(T邸)のWorksをアップいたしました。
ぜひご覧ください。

Works更新のお知らせ(上北沢の住宅改修(T邸))

昨年4月に竣工した上北沢の住宅改修(T邸)のWorksをアップいたしました。
ぜひご覧ください。

南イタリア10

オトラント
Otranto

20141007-1.jpeg20141007-2.jpeg20141007-3.jpeg20141007-4.jpeg久しぶりに南イタリアのお話。
今回の旅で訪れた最南端の街です。
アドリア海に突き出した小さな街ですが、とても美しくのどかな街です。
それは、街の散策中に出会う海の澄んだ青さ、ライムストーンのクリーム色の明るい色合い、青い空、がそうした気分にさせてくれます。

この街で僕は重大な過ちをしました。
大聖堂舖床モザイクを見落としてしまったのです。

この日僕たちは海遊びを兼ねてレッチェからオトラントへ出掛けたのですが、旧市街を散策中においしそうなシーフードのお店に吸い寄せられ、ついつい長居をしてしまいました。
食事が終わってお会計をしたときは既に午後の4時を回る頃。
お店のお客さんは我々を入れて残り2組。

もう満腹で何もする気が起こりません。
そこで、昼休み中のショーウィンドーで見かけて気になっていた陶器をゲットしてそのままレッチェの宿にUターン。

大事なことはすっかり忘れていました。
いつかまた来ましょう。

ここからやっとUターン。
まだまだ続きます。

「Helge Lien Trio」LIVE

20141006.jpgノルウェーのジャズ・ピアニスト、Helge Lienを中心とする、ピアノトリオ。
彼らの清々しい演奏は、僕のiTunesでは繰り返しかかる定番。
先日、久しぶりに訪れた新宿ピットインのチケット売り場で貰ったまんま、バッグの中で嵩張っていたビラをゴミ箱に捨てた。
しかし、ゴミ箱の中をよーくみたら、「Helge Lien」の文字。
あれ、これは行かなきゃ。
幸い発見したのは公演の5日前。
というわけで、彼らのライブに急遽行ってまいりました。

いや、本当に美しいです。
ジャズというと、タバコの煙にアルコールの匂い、そして、夜の街を連想しますが、彼らの演奏は、森と水、そして神秘的な風景がどこまでも広がります。ここまでくれば、当然、このステージ、禁煙です。

藝大オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」

20141005.jpg毎年秋に行われている藝大オペラ。
今年で60年目だ。
僕は2005年のモーツァルト「皇帝ティートの慈悲」からほぼ毎年、娘と一緒に観に行っているので今年で10年目だ。
学生のときはオペラの面白さが分からなかったので、学内でのこんな舞台を見逃していたとは、今思えばもったいないことをしたなと思う。

今日の演目はモーツァルト1790年のオペラ・ブッファ「コジ・ファン・トゥッテ」(女はみなこうしたもの)
台本はヨーゼフ2世の宮廷詩人だった、ロレンツォ・ダ・ポンテ。
3年前にも同演目で行なわれているが、当然出演者は入れ替わるし、舞台装置も手数の限られた中での手作り感あふれる工夫が楽しめる。

このオペラ、タイトルの通り、女が主役の演目だ。
この時代の愛の告白はじれったい。
しかし、これこそが、ミラン・クンデラの言う「緩やかさ」の時代のお話だ。
男子がんばれ、と僕は密かにエールを送った。

今年も学内外からの大勢の観客で賑わっていた。

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