桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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2014年10月のアーカイブ

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2014年10月 [ 20 entry ]

アルヴァ・アアルトのこと

アアルトの研究をされている、ミュンヘン在住の建築家、水島信さんからお話を伺う機会を得た。

フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトは1898年生まれ。
自身の家具ブランドであるアルテックのデザイナーとしても一般に良く知られている。

主な作品を挙げてみると、新古典主義建築を経たのち、パイミオのサナトリウム Paimio Sanatorium(1929-32)でのモダニズムデビュー。
ヴィラ・マイレア Villa Mairea(1938-39)でのモダニズムへの決別。
サイナッツァロの役場 Saynatsalo Town Hall (1949-52)での地方主義の目覚め。
ヴオクセンニスカの教会 Vuoksenniska Church (1955-58)での、包まれ、奏でられるような空間構成の開花。
そして、ヴィラ・コッコネン Villa Kokkonen(1967-69)、アラヤルヴィのタウンホール Alajarvi TownHall(1966-69)
に見られる、後期の熟成。
と、その建築表現を変幻自在に変えて見せた人だ。

アアルトは晩年、フィンランド建築界の中心舞台から急速にフェードアウトしていったといわれている。
その理由として、1949年、アアルト51歳、妻アイノの死の影響が大きいのではないかという。
アイノが亡くなった年、亡き妻を称える、というペンネームで、ヘルシンキ工科大学(1949-74)のコンペを制したというから、アアルトは妻アイノに育てられたと言っても良いのかもしれない。
その後、1952年にアアルト事務所のスタッフであった建築家エリッサ・マキニエミと再婚する。
しかし、50年代後半、アアルトの事務所は数えきれないほどの仕事を抱え、とんでもなく忙しかったらしい。
だから、それ以降は以前のように設計にのめり込むことはなく、甘いプロジェクトが多くなった、と指摘されている。
また、プロジェクトの規模が大きくなるにつれ、権威主義的にも見える、という指摘もある。

20141004.jpg1976年に亡くなるまでの間の作品は約700もあるという。
僕はいくつかの代表作品は見学している。
今日のお話しでは、後期作品である、ヴィラ・コッコネンを見てみたいと思った。

建て主であり、友人である、作曲家コッコネンが1969 年にアアルトに捧げた、Meet The Conposer JOONAS KOKKONEN というタイトルのチェロ協奏曲も気になる。

「片手」と「両手」

都心の閑静な住宅街で広いお庭と趣のある木造家屋にお住まいのかたからの相談に、ここ一年関わっている。
不動産の売却も絡むお話なので、僕は宅建免許を持ってはいるけれども、片手間にできる話ではないので、早速、不動産業者をしている友人をご紹介して一緒に進めさせていただくことにした。

不動産業者と聞くと、誰もが少し後ずさりしてしまうのは、やはり、地上げなどに絡む一部の手荒な行為が、マスコミを通じてクローズアップされているから仕方ない。
最初は彼も苦労したと思う。
しかし、彼と僕とはもう20年来の仲間であり、僕は任せた以上はとことん信頼するし、彼もそれをわかってくれている。

20141003.jpg不動産業界では、「片手」とか「両手」という言葉がある。
売り主と買い主、両方を自らの客として土地や建物の仲介を行なうのが「両手」
売り主だけ、あるいは買い主だけを客として仲介を行なうのが「片手」
当然、手数料収入は前者を1とすると後者は約半分になる。
しかし、彼は最後まで「片手」に徹してくれた。
「両手」になるとどうしても売り主と買い主双方の要求に挟まれてドライに進めざるを得なくなるからだ。
今回、彼は利益の少ない道を選びながらも、とにかく僕のお客さんのためにベストを尽くしてくれた。

さて、建築の設計は「片手」なのか「両手」なのか?
設計料収入は建て主さんからいただくので、契約上は「片手」だ。
しかし、建て主さんの利益のために手の込んだものを安く叩いてつくらせたらそれで良いのかと言うとそれは大きな間違いだ。
そうなると、毎回プロジェクトごとに新しい業者さん、新しい職人さんを探し続けることになるだろうし、竣工後のメンテナンスも気軽にはつきあっては貰えないだろう。
安くできればお客さんは一時的に喜ぶかもしれないけれど、その後で大変なことになるのだ。
だから、僕は建築の設計は契約上「片手」であっても、業務上は「両手」だと考えている。

つい先日、彼のおかげで無事、土地の部分売却が決まり、これからプロジェクトは大きく動き出すことになった。
僕は、常に「熱意と誠意」のある友人たちに助けられている。

Molteni&C新作発表会、実は!

20141002.JPG今日は、Molteni&C(モルテー二)の新作発表会にいってきた。
これまでソファーは度々使ってきたが、この会社、収納家具が全売上げの過半を占めると言う。
一方、ソファーは全売上げの1/4を切るようだ。
そんなMolteni&Cの今回の新作展示には迫力の箱型収納がずらりと並ぶ。
見るからに組み立てが難しそうな自立型の間仕切り収納シリーズ「505」は建築の要素として魅力的だ。

その片隅でarflexの定番「A SOFA」が、ひっそりと新たな装いで展示されていた。
赤いパイピングにシルキーなグレイのファブリックが上質で魅力的な仕上がり。
僕が独立後最初の住宅に入れたのが、この「A SOFA」だ。

そういえば、今、突然気がついたのだけど、先月末で独立20周年。
何も特別お祝い事をしなかったけれど、ここまで支えていただいた、クライアントさんたち、協力していただいた職人さんたち、メーカーの担当者さんたち、数えきれないくらいたくさんの人たちを今夜一人一人思い巡りながら、密かに感謝したいと思います。
ありがとうございます。
そして、これからもまだまだよろしくお願い致します。

軽井沢、取材立ち会い

20141001-1.JPG20141001-2.JPG20141001-3.JPG一昨日いってきたばかりの軽井沢だけど、今日も再び。
3年前に完成している「軽井沢の別荘(T邸)」の取材立ち会いだ。

遠隔地での取材なので取材チームは泊まりがけで一日一軒の取材キャラバンを行なっている。
しかも、編集部は編集長の現場指揮に基づき、自分たちで完璧にコーディネートを行なうので、ワゴン車に荷物満載でやってくる。
いつも、暮らしのクオリティーを今あるよりもさらに魅力的にフォーカシングしていただけるので、仕上がりがとても楽しみだ。

今年の春のドカ雪で、バルコニーの手摺りが破損させられていた。
オーナーさんは暫くの間、海外暮らしをされているので、発見が今になってしまったが、自然の力は想像以上だった。
これには正直ゾッとさせられた。
近場であれば、ふらっと立ち寄りチェックすることも可能だが、遠隔地となるとなかなかそうはいかない。
また、管理会社が常駐しているからと安心していても、実際はチェックの目がそこまで追いつかない。
地元の建設会社に工事を頼んだからといっても、出来上がってしまった後は何か特別な契約でもしない限り手はまわらないだろう。
やはり、設計者が建物の健康診断を続けて行くことの意味は大きい。
特に遠隔地の案件や、別荘など、日常的な利用の少ない案件について、竣工後のチェック体勢のメニューを作ろうと思う。

20141001-4.JPG

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