桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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オークフィールド八幡平、サービス付き高齢者住宅

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オークフィールド八幡平、サービス付き高齢者住宅

20151207-1.JPG20151207-0.JPG20151207-2.JPG20151207-3.JPG20151207-4.JPG岩手県の八幡平で設計を手がけてきた高齢者住宅第一期32戸が無事竣工し、12月1日に竣工式典が行なわれた。

ここに、CCRCという言葉がある。
Continuing Care Retirement Community の略で、健康時から介護時まで継続的ケアを提供するアメリカにおける高齢者施設のコンセプトである。

今年2月に政府、「内閣官房まち・ひと・しごと創生本部」において「日本版CCRC構想有識者会議」が設置され、ここがまとめた、日本版CCRC構想では、
「東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療・介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」
を目指すものである、と定義されている。

この構想の目指すところとしては、
1、高齢者の希望の実現
2、地方へのひとの流れの推進
3、東京圏の高齢化問題への対応
の、3つがあげられている。
さらに、アメリカのCCRCは塀に囲われたゲーティッド・コミュニティを示しているが、日本版CCRCでは、「地域に開かれた街まるごと」を目指す、とされている。
まさに、地方創生のエンジンとして「日本版CCRC」の可能性を捉えることができるわけだ。

岩手県岩手郡旧松尾村柏台地区。
2005年(平成17年)9月1日に、同じ岩手郡の西根町・安代町と合併して八幡平市となり廃止された地域だ。
標高2,038mの岩手山の北側山麓に広がる標高約500メートルの高原地帯である。ここから見上げる岩手山は堂々たる稜線を描き、アルプスの景観に匹敵する美しい景観を形成している。
しかし、一方で八幡平市は合併して高齢化率が薄まったとはいえ、5年前に行われた調査では55歳以上の人口比が48.99%となり、準限界集落、つまり限界集落の予備軍と定義される50%に限りなく近づきつつある地域である。

ここが、今回私が取り組んでいる高齢者共同住宅の敷地のあるエリアであり、地区単位で言えば八幡平市全体よりもさらに事態は深刻であろうと思われる。
しかし、ここには前記した見事な景観に加え、良質な温泉、そして医療・福祉施設の他、教育施設も用意されている。
我々都会人で自然回帰志向を持つものにとっては、移住に関しての恰好の環境がすでに整っているのだ。
また、地域住民に対しては避寒利用、首都圏住民に対しては避暑利用と二毛作利用も期待できる。

今回、私たちのプロジェクトの竣工は、東北初のCCRCとして位置づけられ、大きな注目を集めることとなり、12月2日付け岩手日報の一面トップを飾るなど、好スタートを切った。
竣工式典では八幡平市長、岩手県議会議員、別件のクライアントでもある東八幡平病院理事長ほか大勢の参加と賛同を得た。

2010年からプラチナ社会研究会でCCRCに関連するセミナー、分科会、視察などを通じて約6年に渡りCCRCの啓発と普及に努めてきた、三菱総合研究所プラチナ社会研究センターの主席研究員である松田智生さんの応援も頂きながら、今後の動きを見守っていくことになるが、こうした半ば公共的な仕事は、普段特定のクライアントのための仕事ばかりしてきた私としては初めてである。

しかし、これも最初からCCRCに乗って進めてきたという訳ではなく、今回もいつもと同じように、サービス付き高齢者住宅として32人の入居者のために、気持ちよく快適で美しい住宅をつくることだけを考えてきた訳で、特別なことをした覚えはなく、とにかく「施設」にはしたくない、と、ただそれだけのことなのだが、結果、CCRCの目指すところと合致し、後付けながらも日本版CCRCとしてご評価頂くこととなった。
その手応えを大きく感じることとなったのは、感無量である。
竣工式典では、ともに戦ってきたクライアントともその気持ちを分かち合った。

このプロジェクトは今後、第二期、第三期と進め、最終的には中庭を囲う1ヘクタール約100世帯の集落が完成する予定だ。
また、近隣では現在、東八幡平病院の増改築の計画も進んでおり、この地域の沿道景観を作り出しつつある。
さらに柏台近隣地域に発展させ、若手の雇用と移住を連鎖させることで高齢化を緩やかに食い止めるサスティナブルな地域づくり構想を夢見ている。

さてこの住宅、寒冷地の宿命なのだが、グリーンシーズンに工事を行う関係上、どうしても竣工と同時に一年中で最も過酷な冬がやってくる。
この冬を乗り切り、また多くのフィードバックを得ることでさらにブラッシュアップしていくこととなろう。
この地域での仕事は、いまから二年半前のたまたまの偶然の出会いから関わることになったのだが、いまやライフワークになると確信している。

詳しくはオークフィールド八幡平まで。

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