桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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食のアーカイブ

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食 [ 38 entry ]

サドメシ イワテメシ

20161031.jpg先々週末、佐渡に行って来たという話はブログにアップした通りです。
そして帰りにはエコバッグ一杯分の佐渡の食材を持ち帰りました。
まるで両親から聞き伝えの戦時中の買い出し風景そのものです。

ミョウガ、柿、栗、瓜、赤タマネギ、サツマイモ、ブドウ、イチジク、そして新米!
なんと、これらは全てお世話になっている方のお庭からの収穫です。
すべて無駄にすることなくありがたく頂きます。

さらに先週末は岩手県八幡平へ出張でした。
佐渡メシ三昧に続く岩手メシ三昧ではキノコ、リンゴ、ブドウ、そして三陸の海の幸など。

各地の素朴な美味しいものとの出会いがいま僕の楽しみの一つなのです。

今週末は闘牛と長寿で有名な徳之島(鹿児島県奄美群島)にいってきます。
どんな食材と出会えるでしょうか?

高尾にて

20151119-1.jpg八王子の目白台という駅からさらにバスで10分程のところで鉄筋コンクリート造の住宅の改修を行なっている。
約5ヶ月の工期で躯体だけを残して後は完全にやり替えると言う大掛かりな工事である。
週に一度は現場にいくのであるが、同じ東京とはいえ、なかなかに遠隔地である。
朝行ったら帰りはもう日が傾いているということが良くある。
ちょっと前に高尾山に娘を連れていって来たが、その高尾山は目と鼻の先。
ならば、せっかく現場にいくなら朝早くに行って帰りに紅葉盛りの自然を少しだけ見ながら食事でもして帰ろうと、いくつかお店をピックアップして順次訪れてみることにした。

今日は自然の中という訳ではないが、一駅先の高尾にある、うなぎと釜飯のうまい店へ。
つい最近デイライトキッチンのオーナーに教えてもらったお店だ。
この辺り、平日のランチ時、どこもそうなのだがとにかく高齢者が多い。
僕が入店した時は、おばあさんと娘二人の3人連れ、脚の不自由な高齢女性一人、車椅子で来店した男女2人連れ、の計3組が料理の運ばれてくるのを待っていた。
僕はホタテの釜飯を注文。
20151119-2.jpg炊上るまでの20分、本を読みながら待っていると、周りの会話がいやでも聞こえてくる。
3人連れはおそらく最近おじいさんが施設に入ったのであろう。
しきりにおじいさんのボケの話をしている。
銀行にでも勤めていたのだろうか、昔は数字に強かったおじいさんがすっかり数字に弱くなって間違った主張をするので困っていると言う。
そうしたおじいさんに対して、頭にきたり、叱ったりする様子がリアルに話題にあがっていた。
お一人さんのおばあさんは40年前に息子さんを亡くし、息子さんと度々来店したこの店に今も時々来ていると語る。そして、家族から車を運転することを禁じられ、電車を乗り継いでくるのだが、いつまでここに来ることができるのかと嘆いている。
そして最後のお2人さん。
おばあさんは車椅子。
もう一人はお孫さんと見えた。
アイドル青年のようにやや長めの髪にウェーブをつくっているが、少しふっくらしており昔イケメン風である。
でも、かいがいしくおばあさんのお世話をしてここまできているとはと、感心して見ていた。
ところが最後の会計のときにわかったのだが、彼は介護スタッフなのである。
おばあさんが介護スタッフを伴って食事にきていた訳だ。
約5000円のランチ代はおばあさんのお財布から支払われ、楽しそうにお店を出て行った。
ギブアンドテイクの関係という訳だろう。

映画のワンシーンのように、静かに人生について語りかけてくる、穏やかな平日のランチだった。

出張の楽しみ

月に二度の岩手出張。
朝6時過ぎに家を出て夜9時に帰宅する。
なかなかハードな日帰り出張だが、現場が着々と出来上がっていく様子を見る楽しみに加えてもうひとつ楽しみにしていることがある。

20150919.jpgそれは地元ならではの食材と出会うことだ。
現場の近くの売店に立ち寄ることもあれば、時間がないときは盛岡駅の新幹線改札口の前に出る売店で適当に手に入れる。
これらの売店は行く時々で売り物が全く違う。
いつも同じものを売っているスーパーに慣れてしまっている僕たちにとってはとても新鮮で季節感満載なのだ。

二週間前はトウモロコシを買った。
ほかにはぶどうがたくさん並んでいたけれど、それ以外目立った売り物はなかった。

しかし、昨日は様子が全く違って、あふれるほどのキノコが山盛りに並んでいた。
もちろん岩手県産の天然物ばかり。
松茸、香たけ、ぼりたけ、本しめじ、ほおきたけ、それに、きのこじゃないけど、みずのこぶ。
今年は茸の収穫が早いらしい。

値段が手頃で、かつ、東京では手に入れられない珍しいものばかりを選び、レジ袋一杯買い込んで新幹線に飛び乗った。

根津 はん亭

不忍通りの根津に「はん亭」という木造3階建の串揚げ屋さんがある。
ちょうど藝大と東大からそれぞれ坂道を下りた場所だ。
いかにも、という風情が光り輝き続けているお店である。

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学生時代はここで食べることはひとつの憧れで、◯◯先輩の卒制の手伝いをしたらここでごちそうになった、などと噂にあがったりもしたものだ。
だから、社会人になって給料を貰うようになったとき、何はともあれこの店に食べに来た。
まだ若かったし、もうこれ以上無理、というほど「大人買い」ならぬ「大人食べ」したものだ。

ところで、給料をもらったら◯◯を買う、とか◯◯を食べに行く、とかいったことの想い出を聞くとなかなか人によって異なった面白い話が聞けるものである。

今日は久しぶりにここで会食した。
メンバーは医療系の設計仲間。
健康に気遣って食べ過ぎには注意。
僕は串揚げ好きの僕の娘たちからクレームが出ないように先週のうちに別の串揚げ屋さんに家族で食べに行ってあるので、ややLDL過多かも。
しかし、これも夜の外出のための重要な気配りなのだ。

モロッコ−11 朝ごはん

朝ごはんで供されるムスンメンと呼ばれるクレープがまた実に素朴で美味しいです。
温かいムスンメンにバターや蜂蜜、なつめ椰子の実のジャムをつけて食べます。
ジュースからジャムまで、全て手作り感満載。
逆に手作りでない人工的なものの方が高価なのです。
僕が生まれた頃の日本もまだそんな感じに近かったと思います。
ここでは黙っていても普通にエコロジカルだともいえる素朴な暮らしが営まれていました。

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モロッコ−9 タジン

モロッコのご飯といえばタジン料理。
これは本当に美味しいです。
肉と野菜や豆を鍋に入れ、Ras-el-Hanout(ラセラヌー)と呼ばれるモロッコの万能スパイスミックスと共に煮込みます。
富士山みたいな形状の鍋蓋のおかげで旨みがスープとなって溶け出し、循環対流する仕組みなのです。
実に合理的な鍋です。

モロッコの料理人の多くは女性です。
彼女たちはこの鍋一つでなんでも作ってしまうのです。
それゆえにキッチンは極めてシンプルです。
そもそも薪による熱源が圧倒的なので火力調整なんてできない家が多いわけですね。
だからとても理にかなった料理法なのです。

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ミョウガの醤油漬け

20140901.jpgスーパーマーケットでは年中出回っているミョウガですが、旬は夏から秋にかけてなのですね。この季節、朝の炊きたてごはんと共に食べたくなるのがミョウガの醤油漬け。

白馬の住宅の現場をみている頃、近所の農家のおかみさんから、採れたてのミョウガを大量に頂きました。とても食べ切れなさそうだったし、あまり好きではなかったものだから、保存レシピを伺ったところ、教えてもらったのが、ミョウガの醤油漬け。刻んで鷹の爪と共に醤油で一晩漬け込むだけ。作ってみたら、もう、びっくり。これがあると、もうそれだけで、幸せな香りとともに、ご飯が進むのです。

実はこの香り、以前はあまり好きではなかったのです。
小学生の頃、夏休みになると親から離れて群馬の祖父と祖母の家に預けられ、渓谷を見下ろす山の斜面に建つ田舎の家で過ごしていました。夕方、山の道を祖母と一緒に歩きながら山菜を採り、それが晩御飯のおかずになります。沢の水を薪で炊いたお風呂に入る頃、薪のはぜる音とともに隣の台所から立ちのぼるミョウガの味噌汁の香りが何とも言えず暖かいのだけれど、山菜中心の食事は現代っ子の僕にとってはなかなかハードルが高い暮らしでした。それよりもハンバーグが食べたかったし、コーンスープが飲みたかったのです。
当時はとても不便に感じられた暮らしでした。しかし、いま思うと、できれば取り戻したい、とても貴重で贅沢な暮らしだったと言えます。

今、僕はそんな想い出と共にこのミョウガの醤油漬けを味わっています。
よろしければ、是非、お試しあれ。

「未来の食卓を変える7人」

20120625.jpgいつもランチでお世話になっている近所の食堂で借りた「未来の食卓を変える7人」という本を読んだ。
この本に登場する農家さんから野菜を仕入れているこの食堂では、僕は常連さんの一人としてこのお店の環境啓蒙活動のサポートメンバーになっている。
いつも一人で食べに行くから、僕の娘と同じ歳の娘を持つこの食堂のオーナーを話し相手に食のこと、住まいのこと、教育のことなどいつも話題は尽きない。

さて、本のはなしに戻る。
最先端の農家さんの取り組みとして、慣行農業からの離脱、無農薬栽培、有機農業、自然農法、自然栽培。また、酪農の世界では山地酪農など、様々な取り組みが紹介されている。
ここで紹介されているのはまだまだほんの一例にすぎないだろうけど、共通するのは植物であれ動物であれ「ストレス」を極力排除して個体の気持ちにたって育てて行こう、その結果として「恵みを頂く」との思いだ。
一例を紹介すると、瓶詰め加工場のすぐ隣に床下に炭を充填した清潔で匂いのない牛舎をつくったある酪農家のはなし。
乳の張った牛たちは牛舎へ向かって自らの意思でゆったりゆったり戻ってくるという。
この牧場では決して牛追いはしないのだそうだ。その結果、搾乳と同時に瓶詰めされる「生乳」を商品として出荷することができるのだという。(日々の糧としてはあまりにも高価なので僕の食卓に上るにはまだまだ現実的ではないかもしれないけど。。。)
また、肥料浸けの野菜が栄養過多のメタボリックでストレスフルな野菜だとすればここに登場する農家さんたちは自然農法でぎりぎりの栄養で強く逞しい体の野菜を作ろうとする。
結果、必要以上の害虫が発生することもなくなり、自然の力で元気な野菜が出来上がるのだそうだ。

人間界と同じように動植物の世界でも「ストレスからの解放」がテーマというところで納得。
ここのところ僕の仕事においても、如何に家族同士のストレスを減らして良い関係と距離を保てるかをカウンセラー並みに考える機会が多くなっているのだ。

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