桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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ひとりごと [ 121 entry ]

車の両輪

先日インテリアのスタイル分析をクライアントに対してアンケート形式でカウンセリングする手法について議論した。
そうした手法をパッケージにして広めよう、というのが狙いだそう。
インテリアコーディネーターの友人が相談に来たもので前向きにアドヴァイスした。
僕もリクルートに在籍中、よくカウンセリングを受けさせられた。
不思議だなと思うのは、自分の性格や指向性が結果として導きだされると、ああやっぱりそうだったんだな、と、何となく安心してしまうところがあることだ。
でもそれは冷静に考えて見ると大多数が同時的に共有しているモノやコトであることも多い。
血液型みたいなものかもしれない。
つまりそうやってそっと背中を押してあげられるコミュニケーションのツールだと思えばよい。

けれども、僕はあまりそうしたものをまともには信じたくなかったりもする。
というのはクライアントの「現在」はわかるが、そこからは「将来」は見えてこないからだ。
クライアントの将来について建築家はクリエーションしようと努力する。
たとえイエスといってもノーのこともあるし、逆にノーといってもイエスのことがある。
ただし、そのイメージが共有出来なければそこで話は終わってしまう、という不幸は避けられない。

20101108.jpg言い方を変えればこうも言える。
建築家がコーディネートすると真面目すぎて面白くない。
建築家とコーディネーター、車の両輪にならなければいけない。

話はどんどんずれたが、実は育ててきたスタッフが先日やめてしまいコーディネーター不在の現在、コラボでいくかひとりで器用に両輪をドライブするか、はたまた建築家としてまっすぐやり切るか、悩ましいところなのだ。

銀座にて

秋晴れの気持ちのよい一日。
銀座で妻のワンピースをチョイスした帰りに三越新館に行って来た。

今回の新館オープンのウリは道路を隔てた旧館と新館が道路の上空に浮かした売り場を介して繋がっているということ。
来館者は何処でつないでいるかよくわからないままに自在に行き来できる仕掛けだ。
これまで百貨店というとフロア拡大に応じて増築し、迷路のように渡り廊下で繋がる形態にならざるを得なかった。
今回、三越は都市再生特別地区の指定を取り、区道と自己所有地を等価交換した。
一般的な建築計画ではアンタッチャブルな領域である道路はなんと廃道!そして付け替えされている。
これにより3階より上は本館と新館がワンフロアでつながることとなったのだ。

もちろんそうしたボーナスのかわりに銀座中央通り東側地域への集客の活性化に寄与するため、いくつかの公共的仕掛けを提供している。
そのひとつが9階部分に設けられた「銀座テラス」と呼ばれる公共広場。
カフェも併設し、23時まで誰でも自由に立ち入り可能なのだ。
ただし、このカフェ、せっかくの銀座にありながら今どきのチープ系だったのがとても残念。
で、カフェには入らず「銀座出世地蔵尊」にお参りした。

20101016.jpgところで、ブリッジのことだけれども、最初にブリッジ部分を渡った時はブリッジ、何処?って感じ。
ただ、水平垂直に気を使う仕事柄、ほんのわずかに水平が狂うところで妙な違和感を感じた。
あのすり付け部分に一日立っていなくてはならない売り場担当者は自律神経的にキツイだろうなあ。
なんて妙な心配をしてしまった。

で、売り場は?というと、本物を知り始めたワカモノで賑わう伊勢丹的に。だけど客層は高学年。でもマダムはこれまで通りにどうぞ。という悩みが見え隠れしている。
本当にムズカシイんだなあ。

鈴木カップリング

ノーベル化学賞を受賞した北海道大名誉教授の鈴木章氏。
氏はパラジウムを触媒に使い、有機ホウ素化合物から目的の有機化合物を効率的に作れることを発見した。
私には何のことだかよくわからないが、この化学反応は、「鈴木カップリング」と呼ばれ、医薬や農薬、液晶、そして有機ELなど、我々の生活に身近な製品の開発や量産化に、大きな貢献を果たしたという。
ほとんど変化しない有機ホウ素化合物は、新物質の合成には役立たないと考えるのが一般解。
そこで、鈴木さんは壊れにくいからこそ安定して取り扱いやすいと発想を逆転したそうだ。
しかもその発明を広く開放したことに意味があり、様々なメーカーがこの研究に着目して取り入れることが可能だった。
「発明=巨万の富」という図式ではなく純粋に「発明=社会貢献」という切り口で多くの報道がなされている。
そこから見えてくる謙虚さとか自然体といった日本的な態度はこれまでネガティブにとらえられることが多かった気がするが、今後ひとつのグローバルスタンダードになりうるのではないか、、、そんなことを考えた。

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アーキタンツ

娘が近所に出来たバレエスタジオに行くというのでついて行った。
その名は「アーキタンツ=ARCHITANZ」
あれ???
そう、なんです。
これはARCHITECTURE(建築)とTANZ(ダンス)の造語なんだそう。
だから、受付のスタッフは建築事務所のスタッフで、受付の後ろのパーティションの裏は建築事務所になっている。
バレエを核とする貸しスタジオと建築事務所が融合している訳だ。
カフェと事務所の融合はこれまでもいくつか例があったがこれは新しいなあ。
なんて感心しながら、見学者用のバルコニーから見たキエフ・バレエ出身のLilia Babina(リリア・バビナ)先生のうつくしい立ち姿に見とれてしまった。

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終の住処

最近良くお客様から聞くことば。
「いまはもう欲しいと思うものがない」、、、
だから、心地良い住宅とインテリアを作りたい。。。

今日初めてお話しした方はこれまでに数軒の住宅をつくってこられた方。
云ってみれば普請道楽を楽しんでこられた方だ。
しかし、
「これまでつくって来たものには自分の意見が入りすぎた。だから、自分が年を取り変化すると単に過去の趣味になってしまう。今回、還暦を過ぎてつくる終の住処については建築家の感性に任せてみたい」
と、おっしゃって頂いた。
この「終の住処」となる場所は西と東にそれぞれ1カ所、あわせて2箇所用意されている。
それぞれの場所はともに眺望に恵まれたロケーションだ。
雑木林の木々に包まれて癒される、そんな時間、空間をデザインする。

住まい感、人生観、ライフスタイル、などなど、建築家として心動かされるお話をたっぷり3時間半かけて伺った。

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子をもつ「親の臭い」

来週現場に納品する予定のアートパネルのデザインを今頃になってせっせと考えている。
なんと全部で95枚!もある。
この現場はあまりデザイナーとして尊重されてはいない現場で、どちらかというと一業者といった方が近いかもしれない。
建築現場の業者は特に内装の最後の方になるとギリギリの工程に押されて全てのしわ寄せがやって来るのだ。
そんなしわ寄せから、くるべき情報がやってこない。
コストのしわ寄せもやってくる。
予算が決まったのは超ギリギリで先週末。
そこから始めたって出来ることは納期的に限られる。
だから一般的には無難なことしか出来ない。
そんな風にしてこの世の中の大半の建物は面白くなくなってゆくのだ。
でも自分的にはそんな仕事だったらばしない方がまし。
だからそんな中でもマックスに自分なりの技を効かせたクリエーションをこころみる。
クライアントが理解してくれるかどうかは別として、、、

20100928.jpg午前中に全てのデザインをすませて工場へメール送信。
午後は食事の時間もとれぬままに東中野の住宅の現場へ。
今週は雨がおおくて現場作業が思い通りに進まない。

夜は新規のお客様宅へヒヤリングに向かう。
子供を寝かしつけてからの打合せだったが僕がひきずった椅子の音で目を覚ましてしまったらしい。
起きて来て隣にちょこんと座った一歳児、ニコニコしながら僕に本を読んでくれている。。。らしい。
日頃、妻からはオジサンの臭いがする、、、といじめられているが、子をもつ「親の臭い」も僕にはあるようだ。

中秋の名月

今日は朝からばたばたしっぱなしの日だった。
仕事を持ち帰ることにして娘と一緒の帰り道、見上げた空にはくっきり奇麗なお月様。

思わず二人で吠えた。

吠えてしばらくすると霞みだし、やがて雲のなかへ。
やはり15夜は雨になる。
何だかとても自然のリズムを感じる1日の終わりだった。

20100922.jpg

現場のソコヂカラ

朝早くから千葉の現場へ。
自宅から電車で1時間半。
車だと早いが、帰りはくたびれて運転したくないだろうなあ、と、電車で向かう。

私が関わる現場で唯アソシエイツとしてミラー77枚の取り付けを受けることになった。
だから私はデザイン監修者であり、取付け業者のひとりでもある。
いつもなら取り付けが悪ければ指摘して是正させれば良いのだが、今日はひとり二役で完璧でなければいけない。

本来ミラーの取付けは最後の最後に行うものだが、検査日程の関係でまだ仕上がっていない現場でありながら今日1日で全て取付けてしまわねばならない。
職人さん4人に対する取り付け位置の指示、取付け終わったミラーのチェック、検査などなど、休む暇はない。

途中想像を超えたトラブルもあった。
壁の中に隠れた給水管にビスで穴をあけ、水が噴き出す一幕。
まさかの事故だった。
それでも現場の皆さんは慣れたもので、さっさと給水管を修理、あっという間に復旧させてしまう。

竣工間近の現場の底力をみた。
作業が終わって見上げる秋の夕空は美しかった。

20100917.jpg

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