桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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インテリア [ 30 entry ]

I'm home No.97 掲載のお知らせ

商店建築社から現在発売中の隔月刊「アイムホーム」2019 January No.97 にて
2011年5月に竣工した東中野の住宅-2(K邸アネックス) と、2011年10月に竣工した東中野の住宅改修(K邸) が紹介されています。

竣工からだいぶ時間が経っていますが、今回の編集テーマは「Sustainable Home Planning ライフスタイルの変化を踏まえたプランニング」。副題は「Long Life Confort 年を経ても暮らせる心地よい住まい」とあります。
テーマの通りクライアントご夫妻とのご縁は23年にわたりますが、その間に法人のプロジェクト、個人のプロジェクト合わせて10現場を超えたおつきあいを継続させていただいています。
その間こちらも同じことをし続けているわけではなく常に勉強です。
少しサボって同じことをしようとするとすぐに見破られ叱咤激励をいただいてしまいます。
クライアントご夫妻からスマートハウスについて研究するよう指示をいただいたのは20年以上前になります。
スマートハウス自体は建築的な要素というよりも技術によって立つものであったことから空間の作り込みに取り入れることはありませんでした。
こうして彼らからは常に一歩先をいくことが求められてきましたが、しかし、今もお互いに同じスピードで高齢化に向けて歩んでいるわけです。
そうした中で一歩先の変わらないテーマを見つけそこに向けて最初は無駄かもしれないけれど普遍的に作りこんでおくことを忘れてはならない要素もあるわけです。
編集部からの取材にあたり、そんな思いを持って臨みました。
住宅の紹介記事は40〜49ページに掲載されています。
また、77〜78ページでは設計のポイントをいくつかお話しさせていただいております。
どうぞ書店にてお手にとってご覧いただければ幸いです。

CONFORT No.165 掲載のお知らせ

20181115_confort.jpeg建築資料研究社から現在発売中の月刊誌「CONFORT」2018年12月号 No.165 にてバスルーム・パウダールームについての取材を受け、幾つかのポイントをお話しさせていただきました。138〜139ページで紹介されています。
バスルームをはじめとした水回り空間は、機能上絶対に必要だけれども滞在時間が極めて限られるためにどちらかというとメインディッッシュにはなりにくい場所です。
苦心したスタディーの段階で「これはパーフェクト!解けた!」と思った途端に「トイレを忘れた〜」と凍りつく瞬間が今でも稀にあります。
思い切って生活空間から消去するか、ドーンとメインに据えてとことん使いたいと思ってしまうのが水回り空間なのではないでしょうか。
僕自身は近くに公共施設の綺麗なトイレがあって24時間使えればそれで良いし、お風呂だって近くにスポーツクラブか銭湯や温泉があればもう純粋にとことんくつろぐ空間だけが自分の家としてそこにあればそれで良いと思ってしまいます。
取材では押さえながらお話しさせていただきましたが、同じ限られたミニマムな面積、空間でもグレード感や開放感での差別化を作り出した例を取り上げていただいています。
どうぞ書店にてお手にとってご覧いただければ幸いです。

陰翳礼讃

東京の自宅を引っ越しして約2ヶ月経った。その間に八幡平の家も引っ越ししたので慌ただしく、東京の家を引っ越してもうそんなに経ったのかと思うくらいあっという間だった。
未だダンボールの山が残されていることは変わりない。
断捨離を実行するにはチマチマとやっていたのでは一向に埒があかない。僕にはまとまった時間が必要なようだ。
とはいえ未開封のダンボールの所有者はそのほとんどが浪人中の娘にあるわけだから急かすわけにもいかないというのが実態だ。

20180914.jpeg

引っ越してみて驚いたことがある。
これまでの暮らしでここ数十年間支払い続けてきた電気代がおおよそ3分の1になったことだ。
これは驚きである。
前の住宅は鉄筋コンクリート造の二階建て住宅で築年数約30年。断熱はとても怪しい。何よりも南向きの大開口があることと陸屋根(天井)の輻射が激しく、夏と冬はエアコンがフル稼働となる。しかも動力を使用していたので請求は電灯動力合わせて2本となる。
広さは今よりも25%増しなのに加えて巨大な吹き抜けがあるので負荷は大きいのは当たり前なのだが3倍の開きとなるとなかなかの金額だ。
今のマンションも築年数は同じようなもので断熱は極めて怪しいが、3階建ての1階であり、鬱蒼とした木々に囲われているために直達日射がないということで負荷の変動が少ないことが大きな要因だろう。引っ越して以来エアコンは24時間かけっぱなしなのだが結果は良好だ。
ついでにその前住んでいた港区のタワーマンションの時の履歴もチェックしてみた。
ここは中間階とはいえ角住戸のため外部環境の変動を受けやすい住宅だった。
面積が今よりも25%小さいにもかかわらず電気代はやはり今の3倍だった。家族数がこのころは4人だったこともあるかもしれないけれど、それにしてもその差は大きい。

夏の猛暑が年々酷くなっているのを横目に、陰翳礼讃の時代に突入したなという気がする。南向きよりも北向き。遮るもの一つない眺望よりも落葉の木々に囲まれた環境。ツライチの外観よりも大きな庇に彫りの深い陰影のある外観。建築のセオリー、価値観が大きく変わりだしている。

今年も一年、楽しい仕事が出来ますように

僕の職業は建築家なのだけど、家具も作るし、あるときはインテリアコーディネーター、そしてまたあるときはデコレーター、はたまたたまにキュレーターにもなる。いまのところ住宅に限りの話だけど。
つまり、ひとさまのライフスタイルを丸ごと作る職業なのだと捉えている。

そのため、日頃からライフスタイル関連商品のリサーチを欠かさない。国内、海外問わず、レストランやショップでふと気になるものを見つけると裏返して刻印をチェック、初めて見るものであればすぐにググってブックマーク。日本での取り扱いを調べておく。すると案外知人の取り扱いだったことを知ることもある。
そして本当に気に入ったものは先ず自分で購入して使ってみる。
そうすると本当に永く使えるものなのか、ただ奇麗なだけのデザインなのかがよくわかる。しかし、ものは使いやすければ良いというものでもない。使いやすくするために取ってつけたようなデザインは一番嫌いだ。永く使えるということはデザインも使い勝手もすべて心地よいものなのだ。ただのディスプレイならそこまでしなくても良い訳だけど、僕はどうもそうした思い切りがない。使うものでも飾るものでも購入する以上はその存在理由が欲しいのだ。
だから、ただのディスプレイだとわかっていても、例えば本を購入するときなど見かけのボリューム感、表紙の格好よさ、そしてその中身の有益さをはかりに掛けて悩みに悩む。もちろんコストパフォーマンスも重要だ。たとえクライアントが中身を見ることがないとわかっていても。しかし、そうしていちいち悩んでいるのは無益なようにも見えるかもしれないし、スタッフからするといいかげんにしてくれ!といいたくなるところだと思うが、実はこれこそが僕にとってものすごく重要なリサーチなのだ。できれば一年365日悩んでいたいくらい幸せなリサーチの時間なのだ。

先日お客様のお宅に伺った際にトイレと洗面に設置したペーパータオルホルダーの具合が悪いと相談があった。ゴミがたくさん出るペーパータオル、実は自分では使わず、僕はハンドタオル派である。よって、こればかりは自分が日頃使っているものをお勧めすることが出来ない。それこそデザインはとても奇麗なのだが、よくよく見てみれば原理的に無理のあるデザインで、ペーパータオルホルダーの必要性能が満たされていないデザインのものだった。
卸元とも相談した結果、彼らとしてもこのように分析的なクレームであればと、対応して頂けることになった。この際だから僕もしばらくの間ペーパータオル派になってテストしてみることにしよう。

僕の職業は建築家である。しかし、実際にはそんなことを楽しんでいる。
あ、全然関係ないけれど、今日は七夕だ。
今日は早く帰って子供たちと一緒に願い事をしよう。
今年も一年、楽しい仕事が出来ますように。

20160707.jpg

Goodbye Picasso

20141016.jpgアメリカ、ライフ誌の契約カメラマンだった「デビッド・ダグラス・ダンカン」が撮った「Goodbye Picasso」という写真集がある。
ダンカンはアフガニスタンでの取材活動が特に有名だ。
また、日本のレンズ(カメラ)メーカーである、ニコンとの関わりも深い。
もっというと、1956年、ガルウィングの新型ロードスター、メルセデス300SLをその撮影と引き換えに所有し、取材にはその車で乗り付けるという、まるで007、ジェームズ・ボンドのような格好良さである。
実際、彼には当時のニクソン大統領に対して米国へのピカソ招聘をアレンジするなどかなり政治的な顔もある。
僕はピカソが晩年移り住んだ南仏での暮らしを知りたくてこの写真集を手に取った。

ピカソは、パリを離れたのち、カンヌ近郊の「ラ・カリフォルニー」Villa La Californieに1957年から1959年まで暮らし、その後、エクス・アン・プロヴァンスの郊外にある「シャトー・ド・ヴォーヴナルグ」に1959年から暮らした。

この写真集では、ピカソの住まいに自由に入ることを許されていたダンカンが、ピカソとそのファミリーの素顔を思いのままに撮っている。
茶目っ気たっぷりの実に微笑ましい画家の暮らしぶり(インテリア)
が伝わってくる一冊なのだ。

せっせと飲んだ36リットル

20120125.jpgここにならべてあるのはディスプレイ用に用意した750mlボトル48本。
中身はすべて我が家のテーブルウォーターとして消費した。
だからディスプレイとしての原価はタダ。
ガラス瓶としてリサイクルされる前にもう一度役目を負ってもらうのだ。
他にシャンプーのボトルやパヒュームボトルもある。
これらも外資系高級ホテルなどで使われているのと同じブランドのもの。
せっかくなので自分の好みのものを購入して中身は消費する。
そんな風に自分の生活をちょっと美化してそのままディスプレイに使ってしまう。
これが僕流。
嘘っぽいディスプレイにならないように自分なりに楽しみながら工夫している。

サイレントグリス

毎週木曜日の午後は大学の授業のため、千葉県の野田まで一時間半かけて通勤。
一度事務所に出てから行くよりも自宅で一仕事してから向かった方が移動時間分楽なのだが、ここのところ打ち合わせのスケジュールがたて込んでいて、朝一番の打合せを入れざるを得ない、という状況だ。
今日もスイスのウィンドートリートメントの専門会社である、サイレントグリスのショールームで今度の住宅でのバーチカルブラインドの電動制御について打合せ。

20111013.jpegサイレントグリスは曲げることが出来るアルミ製カーテンレールや、スイッチで制御する電動カーテンレールを世界で最初に開発したメーカーだ。
スイスの地方都市ベルン郊外に本社を持ちながら、世界中の名だたる建築の窓周りを一手に引き受けている。
ヨーロッパの建物には日本の建築のようにカーテンボックスなるものが存在しないので、器具そのものが露出しても美しくある事が前提として作られている。
だから、製品の細部は丹念に作られているのがわかる。

しかるに、当然コストは高い。
クライアントから「なんでこんなに高いの?」と、問われたときにその違いを即座に説明する事が求められる。
そのために僕はカタログだけで選ぶのではなくこうしてショールームまで出向いて製品のクオリティーを確認するのだ。

見た事ないものに対する不安感と無難なものに対する安心感の狭間で

依頼された仕事はどんな内容であれ、どのように楽しもうか、そして、そこで行ったワークがどの様にその後の設計にフィードバックし、活かすことが出来るものかと考える。
四年前に関わったあるマンションのモデルルームのデザインワーク。
設計を全て終え、さあ、着工か、となった時にリーマンショックで頓挫した。
デザインフィーは清算したけれど、実現しない寂しさを味わった。

今回、やっと販売の見通しがつき、再開するという連絡を受けた。
しかし、以前のプランとは全く異なった計画に変更されているため、また一からの提案となる。
でも、僕の方も以前の焼き直しをするつもりは全くなくて、いまの気持ちで最初から考え直す方が楽しいと考えている。

マンションのデザインワークは不特定のクライアントの姿を想像することから始まる。
中間報告をする今日、ある家族のシーンを切り取ってカバーストーリーを書き上げた。
フィクションだけれども自分というフィルターを通して語ることで、これまで見かけなかった集合住宅の住まい方とそのためのプランニングが見えてくるのだ。

一方で、景気が低迷する今、建主側はただひたすらに慎重ムードだ。
したがってちょっとでも尖った提案に対する抵抗感は相当に強い。
見た事ないものに対する不安感と無難なものに対する安心感の狭間で葛藤するのだ。
しかし、そういう今だからこそ誰かが未来を切り開かなければいけない。
そんなリスキーな役を僕が引き受けようとしているのだ、と、考えるとますます楽しい。

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