桑原聡建築研究所

Satoshi Kuwahara Architectural Studio

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Column

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仕事納め

20191228.jpegクリスマスが終わるまで全く手付かずだった年賀状。印刷から宛名書き約300枚すべてのコメント入れまで含めてこの2日の中の隙間時間でなんとか完了。奇跡だ。
そしてさらに昨日は急に思い立って事務所の大掃除も敢行。夕方から始めてみっちりと3時間、かなり物を減らし、なんとかきれいな状態で新年を迎えられそう。
今日は地元郵便局へ年賀状を出しに行き、その後事務所へ。やり残した自分の机の上の最後の片付け。これで事務所の2019年は全て終了。
明日は第九。そして明後日早朝から志賀高原へエスケープ。
雪不足が心配された今シーズンだが、今日は相当な勢いで降っている模様。
家のクリスマスツリーにはもう少し働いてもらいます。

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増上寺塔頭宝珠院

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藝大の一学年先輩の建築家、小川真樹さんの最新作になる「増上寺塔頭宝珠院」を見せていただいた。
今はまるでこの新しい寺院の庭のように見える弁天池だが、かつてこの池でお花見をした時、確かにその隣に小さなお寺がひっそりとあったなあ、と思い出した。僕は1994年独立した当初、麻布台に事務所を構えていたから、この辺りはよく通った場所なのだ。でもその場所の印象は言われてみないとわからないくらいの場所だった。しかしそんな場所がこの年の瀬、劇的に生まれ変わった。
新しく生まれ変わった寺院は外から見ると住宅のようであり、一階部分には茶店のような売店がある。そんな店舗併用住宅のような佇まい。
よく考えてみれば寺院は住宅だ。仏様と一緒に住む住宅だ。寺院には庫裡(くり)と呼ばれる住空間がある。大抵の場合、庫裡は別棟で、住職の暮らしを外から伺い知ることはできない。
しかし、ここ宝珠院は本堂と庫裡が一体になり、お互いがガラス開口を介してつながっている。さらに弁天堂に閻魔堂も。
庫裡、つまり住職の住まいの食堂では、ガラスを介して上座に阿弥陀如来が座している。将来を担う子供たちの部屋に出入りするのにも阿弥陀如来像に一礼する。そしてその奥の扉を開けると閻魔大王を見下ろすキャットウォークにつながる仕掛け。

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この家で育つ子供は絶対に悪いことできないよなあ〜と、ちょっと窮屈な暮らしもイメージしてみたが、そこは建築家もぬかりない。子供室の扉はきちんと四周防音仕様。窓からこの家一番の花見ができる二つの子供部屋は別世界。
「公園と地域に開かれた寺院」と一口に言ってしまえば、昨今よくありそうな話になってしまいがちだが、実は一発芸で出来上がったものではない。ここにある坐像はかつて見世のような往来の賑わいの中に置かれていたことを発見し読み解くことで新たな配置を決定したもの、しかし、檀家を持たない寺院のとぼしい資金力から建設費をどうやって調達するかの大問題、さらに追い討ちをかけた未接道という重大な課題。それでも諦めずに一つ一つじっくりと時間と手間をかけて解決した模様が本人の口から語られ、見学者一同納得。
住職と建築家の思いが凝縮された濃密な空間だった。

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さて見学会を終えて向かった先は東銀座。高熱を出して二日間休養した娘と待ち合わせ。十二月歌舞伎千穐楽。平賀源内の浄瑠璃「神霊矢口渡」とグリム童話白雪姫から「本朝白雪姫譚話」。琴・三味線・小人たちが唄う、パパゲーノのアリア「おいらは鳥刺し」、ザラストロのアリア「おお、イジス、オジーリスの神よ」も楽しかった。
劇場を出る頃にははやくも「二日初日」の幕が準備されていた。インフルが疑がわれた娘も今日から本調子。

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I'm home. no.103 2020 January(2019年11月15日発売)掲載及び連載のお知らせ

遅くなりましたが、I'm home. no.103 2020 January(2019年11月15日発売)に連載及び掲載のお知らせです。
連載第4回目は建築家とクライアントが出会い、度重なる設計打ち合わせをしながら住宅を作り上げていく際のプロセスといくつかのポイントについて解説しています。また、本号には特集「賃貸併用住宅を建築家と建てる」にて2016年7月に竣工した「白金台の集合住宅 芝白金ホームズ」が紹介されています。オーナー姉妹の二邸に加え、賃貸住戸に暮らすオーストラリア出身男性のこだわりのお部屋も取材されています。また、相続土地の有効活用のストーリーも取材の中で披露しています。どうぞ書店などでお手にとってご覧下さい。

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I'm home. no.103 2020 January(2019年11月15日発売)掲載及び連載のお知らせ

遅くなりましたが、I'm home. no.103 2020 January(2019年11月15日発売)に連載及び掲載のお知らせです。
連載第4回目は建築家とクライアントが出会い、度重なる設計打ち合わせをしながら住宅を作り上げていく際のプロセスといくつかのポイントについて解説しています。また、本号には特集「賃貸併用住宅を建築家と建てる」にて2016年7月に竣工した「白金台の集合住宅 芝白金ホームズ」が紹介されています。オーナー姉妹の二邸に加え、賃貸住戸に暮らすオーストラリア出身男性のこだわりのお部屋も取材されています。また、相続土地の有効活用のストーリーも取材の中で披露しています。どうぞ書店などでお手にとってご覧下さい。

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I'm home. no.102 2019 November 2019年09月14日号

I'm home. no.102 2019 November 2019年09月14日号が発売になりました。
連載第3回目は建築の敷地となる「土地」について。土地と出会い、土地から教えられ、土地の様々な条件をポジティブに設計の中に取り込んでいく。そんな土地と向き合うポイントについて解説しています。

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I'm home. no.102 2019 November 2019年09月14日号

I'm home. no.102 2019 November 2019年09月14日号が発売になりました。
連載第3回目は建築の敷地となる「土地」について。土地と出会い、土地から教えられ、土地の様々な条件をポジティブに設計の中に取り込んでいく。そんな土地と向き合うポイントについて解説しています。

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文楽

20190915文楽「心中天の網島」.jpeg文楽を観た。
場所は東京・半蔵門の国立劇場。
小5の娘と一緒で大丈夫かなと少し心配していた、近松門左衛門作「心中天網島」その名の通り心中悲劇。
心配をよそに僕は舞台に観入った。めちゃくちゃ新鮮。かつ、感動した。

僕がこれまで見知ってきた西洋的な舞台観では、すべてのパートにヒエラルキーがあって、演じ手と奏楽が、さらに演じ手にも主役と脇役が、奏楽にも旋律と伴奏が、それぞれ主従の関係を保ったまま連鎖していく。
それがこれまでの僕の劇場体験の常識だったし、おそらく多くの場合、そうなのではないだろうか。
しかし、この文楽の世界ではヒエラルキーがない。主従の関係がない。だから実に多焦点になる。
物語はひとつところに突き進んでいくのだけれども、その道行きは多焦点なのだ。

物語りが始まると、舞台上の人形と人形遣い、出語り床の太夫と三味線、これら四つの時間と空間が同時的に舞台にふっと立ち現れる。まず最初にそこがすごい。そしてその後、観客はそれぞれの時空に視線をフォーカシングすることによって不思議と自在に空間を移動していけることを発見する。

そのように見えたのは特に三味線の息使いと唸り声が聞こえてくる出語り床の際に席を取ったせいもあったかもしれない。
この席に座り、手前にフォーカスすると、三味線、そしてその奥に太夫。そこからぐっと舞台に寄せていくと、生身の人間以上の動きを見せる人形そのもの。そこから少し引くと、人形一体につき3人の人形遣い。人形遣いはまるで人形に「操られて」いるかのような無表情さで「群れ」として人形に「添って」いる。といったように、それぞれ独立した立体時空が見えてくるのだ。
舞台の右隅は出語り床に隠れて見えなくなるのだけれど、マルチフォーカスな舞台を最も強く感じることができるのがこのあたりの席だったということに気がついた。演劇とか演奏はどの席で観るかを決めたところからその印象が決まってくるし、席の違いによって受け取り方は異なってくる。しかし文楽では、パートパートのどこにフォーカスするかによって、さらに同じ舞台が全く別の印象になることを知った。

この、「中心を持たない多焦点性」というところが、実は僕たち日本人の美意識とか感性の根っこの部分にあるのではなかろうか。
住宅でも建築でも、持つべきは中心を持たない多焦点性にある。そんなことを改めて考えさせられたのが、この日の文楽の舞台だった。

練馬区富士見台の二世帯住宅

先日ドローンによる空撮を行った練馬区富士見台の現場。地上と内観の撮影をやっと行ないました。今年の梅雨は本当に長かったです。
先日既存平屋と新築平屋による二世帯住宅の配置を伝えるために空撮を行ったわけですが、今回の撮影にもこだわりがあります。
それはできるだけ暮らしの様子が伝わるように写すこと。
気兼ねなく暮らせるようにお互いの距離感を計画する二世帯住宅は様々に論じられていますが、今回の計画はそうではなくて本当に仲が良くて一つの大家族のような暮らしが自然に営まれていたことから、並行配置でデッキを介してお互いがダイレクトにつながる計画にしています。それでもお互いがもろに向き合うのではなくやや斜めに振られた配棟角度と地盤面に潜るように計画した目線のズレにより僅かでも距離を稼ぐ工夫をしながら計画しました。
撮影本番ではなかなか自然な姿で遊んでくれない子供を誘導するのもカメラマン助手の手腕のうち。前回の撮影ではドローンパイロットの任務を無事遂行してくれたY君の素晴らしい活躍により今回も無事撮影完了となりました。
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